NTT Communications Forum 2007開催

NTT Communications Forum 2007開催

〔シリーズ連載〕NTTコミュニケーションズ レポート(5)
NTT Communications Forum 2007開催

 11月29~30日の2日間、東京都内でNTT Communications Forum 2007が開催された。同社のさまざまなソリューションを紹介する展示コーナーのほか、基調講演、4本の特別講演、12本のセミナーが用意され、多数の来場者を集めた。ここでは、IPv6をテーマとした2本のセミナーの様子をご紹介したい。

●IPv6マルチキャスト・コンテンツ配信

 「IPv6マルチキャスト・コンテンツ配信~マルチキャストで拓く新たなビジネスモデル~」というタイトルでセミナーを行なったのは、同社ネットビジネス事業本部 IPサービス部の添田 卓弘氏。
 同氏はまず、“マルチキャスト”のメリット/デメリットを明らかにした。メリットは「サーバやネットワークの負荷が軽い」「アドレス管理が楽」という点で、デメリットとしてあげられたのは、「TCPのようなフィードバックの仕組みがなく、信頼性が低い」ことと、「経路上の全ルータがマルチキャストに対応する必要がある」の2点。この知識を前提として、同氏は同社が提供するマルチキャスト・サービスの特徴や、それによって実現する新たなビジネス・モデルを紹介した。なお、マルチキャスト・プロトコルとしては参加者検出プロトコル/動的経路制御プロトコルの2種類があり、それぞれ複数のプロトコルが利用可能となっているが、同社のソリューションでは参加者検出プロトコルにMLDv2、動的経路制御プロトコルにPIM-SSMを採用しているという。

 UDPベースのマルチキャストでは信頼性が低いことがデメリットとして挙げられたが、同社のマルチキャストコンテンツ配信システムでは「リライアブル・マルチキャスト(Reliable Multicast)」と呼ぶ技術で信頼性を確保している。技術的にはRMTP(Reliable Multicast Transport Protocol)をベースにシステムを開発した。RMTPは日本IBMとNTTが開発したプロトコルだ。
 配信システムの技術的な特徴としては、FEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)、パケット単位での送達確認・再送制御、ユニキャスト・リカバリ配信などが紹介された。
 FECでは、パケットを分割する際に冗長情報を付加することで、受信側がパケットを組み立てる際に欠損パケットがあっても正しい情報を復元できるようにする。また、送達確認では、TCPのようなパケットごとのACK/NACKの交換ではなく、ある程度まとめてACK/NACKをやりとりすることでマルチキャストの効率性を犠牲にすることなく送達確認を実現し、欠損パケットだけを効率よく再送する。さらにユニキャスト・リカバリでは、マルチキャストでどうしても再送できない場合にはユニキャスト(HTTP/TCP)に切り替えてコンテンツを配信する。この段階ではマルチキャスト配信ではなくなるが、確実なコンテンツの配信が実現する。

 同社では、これらの技術および高度な配信管理アプリケーションを利用した配信センターをASP形式で提供する予定で、年度内に正式発表される予定だという。契約の目安として1Mbps当たり月額100万円程度といわれており、これは衛星を利用した多拠点同時配信のシステムのコストに比べて約1/4だという。
 このインフラを利用して新たに可能になるビジネスの例として紹介されたのが、教育産業での利用だ。IPv6マルチキャストを利用することで低コストでリッチなコンテンツの多拠点への配信が可能になることを利用し、人気講師の講義などのマルチメディア・コンテンツを生徒がオンデマンドで見られるようにするといったサービスが実現できるようになる。こうしたインフラを上手く利用することで、教室を確保するとか、特定の時間にしか講義が提供できないといった制約を回避できるようになり、効率的な運営が可能になると同時に受講者に対するサービスレベルも向上できるということだ。すでに同社では高校、大学、予備校、資格スクールなどと共同実験も実施しており、その際には配信校9事業者、受信校11団体が参加したとのことだった。

添田氏
NTTコミュニケーションズ
ネットビジネス事業本部 IPサービス部
添田卓弘氏

●IPアドレスの在庫がなくなる

 「世界のIPv4アドレスの在庫がなくなる! 今から始める対策法」というタイトルでセミナーを行なったのは、同社の経営企画部 担当部長の貞田 洋明氏。
 同氏は、さまざまなデータを元にIPv4アドレスの枯渇に関する最新状況を紹介し、現時点で考えられる対策についての紹介を行なった。

 同氏が示したデータによれば、全世界での在庫(IANA Pool)の枯渇時期は2010年半ば~2012年初頭、日本国内でアドレス補充ができなくなる時期は2011年初頭~2013年半ばと予測されているという。この予測を踏まえ、同氏は「2010年頃から、インターネット関連サービスの内容が変わるなど、IPv4アドレス枯渇に起因する影響が出始める可能性が高い」という。たとえば、個人ユーザーがISPからグローバル・アドレスの割り当てを受けられなくなり、ISP内部でもプライベート・アドレスが利用されるようになったり、インターネットVPNで新規の拠点追加が出来なくなったりすることが影響の一例として予想されているという。

 この問題に対する最終的な解決策としては、現時点ではIPv6へのシステムの対応が最有力となる。同氏はIPv6に移行する際に企業ユーザーが検討すべき点や注意点を紹介しながら、現時点で既にIPv6の利用を開始することが可能になっている点を強調した。同社ではIPv6インフラを既に運用しており、さまざまなサービスを提供することでノウハウの蓄積も進んでいる。同社では「ネットワークの診断」「IPv4枯渇対策」「IPv6活用ソリューション」などについてのコンサルティングやサービス提供も行っており、これらを活用することで現時点で不可避と見られるIPv4アドレス枯渇に対する備えを固めておくことが可能になるだろう。

貞田氏
NTTコミュニケーションズ
経営企画部 担当部長
貞田洋明氏

 

[NTTコミュニケーションズ]
http://www.ntt.com/

[ひかりブロードバンド×IPv6マルチキャストを用いた配信システム]
http://www.ntt.com/iac/drm/drm.html

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