KT技術研究所での公開試験をレポート
すでにNGN リリース 1(勧告Y.NGN-R1、2006年9月)が完成し、商用サービスへの期待が高まっている中で、NGNの実装に向けオープン・アーキテクチャを開発・推進する国際業界団体MSF(MultiService Forum、本部:米国フレモント)は、10月16〜27日、NGNの核となるIMSネットワーク機器のグローバル相互接続試験「GMI 2006 」を開催した。GMI(Global MSF Interoperability)とは、上記の「MSF」によって実施されている、国際相互接続試験のことである。
国際的に5カ所のサイトを相互接続
今回の「GMI 2006」では、日本、韓国、米国(2カ所)、英国の計5カ所のサイトをつないでマルチベンダ間のIMSネットワーク機器接続試験を行い、また異なるネットワーク間でのローミングや、QoS(サービス品質)の確認などが行われるなど、多くのキャリア、ベンダーが関わるNGNの実装に向けて大きく前進した。今回の試験結果は12月1日に発表され、ITU-Tで2008年前半頃をめどに勧告化される予定のNGN リリース2に反映される。

接続試験の模様(KT)
GMI 2006は、英国BT(British Telecom)、Vodafone、 韓国KT(Korea Telecom)、ETRI(Electronics and Telecommunications Research Institute、韓国電子通信研究院)、NTT、米国ベライゾン(Verizon)、 IOL(ニューハンプシャー大学 InterOperability Laboratory)が主催し、スポンサーは米国ノーテル・ネットワークス(Nortel Networks)であった。このほか、世界の通信関連機器ベンダー24社が参加した。また、今回の試験には、各国から200人以上のエンジニアが参加し、4つのキャリア(BT、KT、NTT、Verizon)の各研究所と1つの大学研究機関(IOL)の5カ所を相互接続。5つのテスト・シナリオに沿って、197のネットワーク機器を98のテスト・ケースで試験した。
機器の検証に際しては、FMC(固定網と移動網の統合)の実現を念頭に置き、
という3種類の異なるネットワーク間での検証が行われた。
5つの試験項目を実施

KT技術研究所
開催期間中の10月26日には、韓国テジョン市内のKT技術研究所(写真1)で、 GMI 2006プレス説明会が行われ、主に韓国での接続試験の模様が披露された。それによると、韓国の接続試験には、KTを中心に、アクメ・パケット(Acme Packet)、ETRI、サムスン(Samsung)、スピレント(Spirent Communications)が参加した。KT研究所内には、KTとサムスンが2005年から共同開発したIMSサーバ「Octave Switch」(写真2)を基盤にIMSネットワークが構築され、ほかの試験サイトと接続していた。KT技術研究所内の物理ネットワークの構成は、図1の通り。
実施された試験項目は、次の5つであった。
- 複数ネットワーク間でのローミング
固定電話端末からローミング・モバイル端末への発呼を行い、正常な動作を確認。 - セッション・ボーダー・コントローラ(SBC)と帯域幅管理機能(Bandwidth Manager)
音声・ビデオ電話の動作を検証。帯域幅管理機能を用いてQoSを確認〔SBC:NGNで仕様化されている、境界領域(ユーザーとISPの境界)でVoIPなどに対するセキュリティ、アドレス変換、品質などを保証し制御する機能をもつ機器〕。 - キャリア間相互接続・動作の検証
複数の試験サイトおよびネットワーク間におけるエンド・ツー・エンドのQoSを確認。 - セキュリティ機能の動作確認
SBCレベルとQoS試験(サービス停止等)におけるメディア・セキュリティを確認。 - サード・パーティ製機器間接続の検証
それぞれ実際に接続して動作を確認する IMSサーバ「Octave Switch」

IMSサーバ「Octave Switch」
試験内容を説明したKT側によると、上記項目のうち、(1)と(2)はKTの研究所内での検証を完了し、(3)以下は26日現在、まだ試験は完了していないが、大きなトラブルもなく順調に進展しているという。これらをまとめた試験結果は12月1日に発表されるが、キャリア、ベンダー両者にとって、今回の試験はFMCを実現するNGNの実装に向けて実りあるものとなったようだ。
なお、MSFによると、2007年から2008年にかけては、IPTVを含めたより複雑なサービスを提供する場合のMSF リリース3アーキテクチャの動作を確認し、異なる機器の接続における障害を最小限に抑制するために継続的な検証を行うという。また、十分なQoSを確保する必要のあるNGNの構築においては、レジリエントな(自己回復力のある)ネットワーク仕様の策定が求められており、これに関しても検証を行い、結果をもとにNGNやIMSの標準化を行うITU-Tや3GPPなどの標準化組織へ提言していくという。
※1 MSF リリース3アーキテクチャ
MSFが2006年9 月に公表した、VoIPソフトスイッチ(IP網上でソフトによって電話サービスを実現する技術)およびPSTN(公衆交換電話網)を相互接続するIMSネットワークのアーキテクチャ仕様。この仕様は、3GPPで標準化されたIMSアーキテクチャ仕様と、従来のVoIPネットワーク仕様の両方を基本に発展させている。
※2 IMS(IP Multimedia Subsystem、IPマルチメディア・サブシステム)
映像や音声などのリアルタイム通信が求められるアプリケーションを、IP(Internet Protocol)をベースとするパケット・ネットワーク上でも提供できるようにするために、3GPPで標準化されたNGNの中核的な仕組みの一つである。






