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Q&Aで学ぶデジタル放送(14):ICカードはなぜ必要?
このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
現在、地上デジタル放送から、BSデジタル放送、CSデジタル、CS110°デジタル放送に至るまで、さまざまなデジタル放送が利用でき、多彩な放送を受信できるようになりました。ここでは、これらのデジタル放送と、今までのアナログ放送やインターネットとの相違点から、デジタル放送時代の法制度までを解説していきます
今回は、デジタル放送を受信するためにICカードが必要な理由について説明します
Q14:ICカードはなぜ必要?
デジタル放送を受信するのにどうしてICカードが必要なのですか?デジタル放送では、多彩なサービスを受信することができます。
例えば、
(1)ペイ・パー・ビュー(Pay Per View、番組ごとに料金を支払う仕組み)と呼ばれる有料放送サービス(図1-13)
(2)データ放送を利用した双方向サービス
(3)NHKの受信確認のための自動表示メッセージ
など、さまざまな放送事業者が新しい放送サービスを行っています。
この時に必要となるのがICカードであり、デジタル放送ではB-CASカードと呼ばれて利用されています。ここで、B-CAS(BS-Conditional Access Systems)とは、BS条件アクセス・システムという意味で、CASは「限定受信方式」という日本語訳が広く使われています。
図1-13 ペイ・パー・ビュー(Pay Per View)の仕組み(クリックで拡大)例えば、ペイ・パー・ビュー(図1-13)では、有料放送を受信するために、受信者は事業者に対して料金を支払わなければなりません。その際に、放送事業者はこのB-CASカードを利用して、受信する本人であることを特定し、その個人に課金を行います。
CASというのは、一種の暗号化システムのことで、暗号化によって個人情報を安全に流すことができるように配慮されています。現時点では、それらの情報をやり取りするために電話回線が利用されていますので、B-CASカードを利用するだけでなく、実際には、電話回線をデジタル・テレビもしくはデジタル・チューナーに接続する必要があります。
このB-CASカードは、BSデジタル放送で初めて使用されたためBという文字が最初についていますが、CS100°デジタル放送や2003年12月から始まった地上デジタル放送でも同じカードを利用します。
また、2004年4月5日から、BSデジタル放送と地上デジタル放送の各放送局は、コピー制御信号をデジタル・テレビ放送に導入しました。この信号とともに録画された番組は、他のデジタル録画機器へのダビングはできないような仕掛けになっています。このことにより、著作権を保護しようというのが目的です。アナログ録画機器での録画や、アナログ放送の録画はこれまで通りとなっていますが、デジタル放送では、このコピー制御信号を有効に機能させるため、B-CASカードを受信機に差し込むことが必須となりました。そのため、B-CASカードを受信機に差し込まないと、たとえ無料放送であっても、デジタル・テレビが見られないようになっています。
このように、多彩なサービスを受信したり、多様な機能を利用するため、B-CASカードはデジタル放送に必要不可欠なカードとなっています。
B-CASカードの運用については、ビーエス・コンディショナル・アクセス・システムズ(略称:B-CAS)という会社があり、主要な放送局と通信事業社の出資を受け、中立的な運営を行っています。
※この「Q&Aで学ぶ基礎技術:デジタル放送編」は、著者の承諾を得て、好評発売中の「改訂版 デジタル放送教科書(上)」の第1章に最新情報を加えて一部修正し、転載したものです。ご了承ください。
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NTTぷららのNGN/IPTV戦略を聞く(3):IPTVを牽引する「ひかりTV」と他のIPTVサービスの比較
NGNの商用サービス開始を背景に、ITU-TのIPTV-GSIで進むIPTVの標準化も急ピッチで進められています。国内でもIPTVの国内仕様の標準化を推進する有限責任中間法人IPTVフォーラムが発足するなど、IPTVを取り巻く環境は大きく動き出しました。そうした中、NTTぷららは、国内のIPTV事業者として、初めてNGNに対応した地上デジタル放送のIP再送信サービスを開始、さらに2008年12月からNHKの番組「NHKオンデマンド」(有料配信)を提供する計画を発表するなど、IPTVサービスで先行しています。同時に、通信と放送の融合が本格化する大きな契機にもなります。そこで、NTTぷらら 代表取締役社長 板東 浩二(ばんどう こうじ)氏に、NTTぷららが提供するIPTVサービス「ひかりTV」の特長や同業他社とのサービスの違いから、今後のIPTV市場の展望や課題などについてお聞きしました。
最終回の今回は、
第1回 NTTグループのIPTV戦略の核となる「ひかりTV」
第2回 地上デジタル放送IP再送信を実現した「ひかりTV」
に続き、「ひかりTV」と同業他社のサービスの比較や課題となるコンテンツ確保などについて、お話いただきました。
第3回(最終回) IPTVを牽引する「ひかりTV」と他のIPTVサービスの比較
≪1≫IPTVの定義と同業他社の比較■ 映像系のサービス(IPTVサービス)としては、御社のようなサービスから、アクトビラのようなもの、You Tubeのようなものまで、幅広くあり、人によって捉え方がばらばらですが、IPTVというとどのようなサービスを指すとお考えでしょうか。
板東浩二氏
(NTTぷらら
代表取締役社長)
板東 確かにIPTVは人によって捉え方が違いますね。当社が考えているIPTVサービスは、何らかの管理がなされたIPネットワークを使うということです。NGNや従来のフレッツ網などのクローズドなネットワークで、ある程度映像の品質を確保しながら送るのが当社の考えるIPTVサービスです。
これに対して、アクトビラの場合は、汎用のインターネットを使っているため、IP放送は提供されていません。IP放送を提供するためには、マルチキャスト機能が必要なのですが、汎用のインターネットを経由する場合にはマルチキャストが利用できないためです。
それから、アクトビラでは、コンテンツに暗号をかけることによって、セキュリティを確保し、汎用のインターネットでコンテンツを配信していますが、「ひかりTV」はネットワーク自体がクローズドであるため、オープンなインターネットよりもセキュリティが高くなっています。
■ 映像サービスを提供している事業者は「ひかりTV」のほかにもあります。他社と御社のサービスはどのように違うのでしょうか。
板東 図1に、「ひかりTV」と他事業者との比較を示しています。
一番左が当社の「ひかりTV」です。続いて、CATV(A社)、CS(B社)、一番右がTVポータル(C社)です。
当社の「ひかりTV」の特徴を一言でいえば、やはり光回線のインフラをベースとした高速大容量のネットワーク、それも汎用のインターネットではなく、セキュリティや品質をある程度確保できるクローズドなネットワークを使用しているということです。
図1 ひかりTVと他の事業者との比較〔NTTぷらら資料より引用〕(クリックで拡大)
■ 図1についてもう少し詳しく説明していただけますか。
板東 図1からわかるように、例えばTVポータル(C社)では、多チャンネル放送がなく、VoDのみです。当然、地上デジタル放送のIP再送信はできません。また、ネットワークは、汎用のインターネット網を使っています。このため、暗号によってコンテンツを保護するにしてもクローズドなネットワークよりセキュリティは弱い面がありますので、コンテンツを確保することがやや難しかったり、場合によっては、高い料金を請求されることもあるかもしれません。実際、現在のコンテンツは2,000本程度ということで、数がやはり少ない印象です。
当社がこれまでさまざまなコンテンツ・プロバイダと交渉してきた経験では、コンテンツ・プロバイダがコンテンツを提供する際の1つの大きな条件が、汎用のインターネットではなくて、セキュリティの面でクローズドなネットワークを利用するということです。
このため、コンテンツを調達する場合には、セキュリティの面でクローズドなネットワークを使った映像配信のほうが調達しやすいと考えています。
CS(B社)は、多チャンネル放送の数は300チャンネルと、「ひかりTV」よりも多くなっています。ただ、ユーザーが300チャンネルの番組をすべて視聴するかというと、実際には主に視聴されているチャンネルは、せいぜい30~40チャンネルぐらいではないかと思います。そうした意味で、当社の「ひかりTV」の放送サービスは、主要チャンネルをそろえていますので、これで十分だと考えています。「ひかりTV」とCSとの最大の違いとして、CSは放送中心であり、双方向ではなく、片方向なので、VoDサービスはできないという点があります。
≪2≫「ひかりTV」はCATVとの競合ではなく、市場拡大の契機■ CATVの場合はいかがですか。
板東 CATVの場合は、当社と同じように、トリプル・プレイということで映像、IP電話、インターネットの3つのサービスを提供しており、多チャンネル放送も強い面があると思います。これに対して、TVポータルやCSが提供しているのは、映像系サービスだけです。
ただ、CATVの場合、VoDサービスについては、ネットワーク・インフラの面で、当社のようなVoD5,000本を見放題といったサービスを提供するのは、すぐには難しいのではないかと思います。VoD見放題という話になれば、ユーザーからのアクセスが集中することがありますので、ネットワークの容量が問題になってきます。
■ そうすると、ひかりTVとCATVは、サービスが競合する領域が多いということですか。
板東 これは非常に大きな発見だったのですけれども、実際にユーザーにアンケート調査した結果、意外とそうでもないことがわかりました。図2に示したのは、アンケート調査の結果です。このアンケート調査は、既存の「4th MEDIA」のユーザー2,000人ぐらいを対象に行ったものです。
図2 NTTぷららによる放送サービスの利用状況についてのアンケート調査〔NTTぷらら資料より引用〕(クリックで拡大)
■ これはいつごろ行われた調査ですか。また、この調査結果を分析していただけますか。
板東 これは2007年秋ごろの調査です。「4th MEDIA」のユーザー2,000人にアンケート調査をした結果、過去にCS(衛星放送)とかCATVの多チャンネル放送をまったく使ったことがなく、「4th MEDIA」が初めて契約した多チャンネル放送だという人が7割もいました。一方、「4th MEDIA」の加入を契機に、それまで契約していたCSやCATVを解約した人は6%ぐらいしかいませんでした。また、「4th MEDIA」だけでなく、他の多チャンネル放送サービスとも契約しているという人は14%もいます。
このアンケート結果から想定できるのは、やはりIPTVのユーザーは、インターネットを中心としたユーザーが多く、CATVやCSのユーザーとは層が違うということです。
特に、「4th MEDIA」が初めて契約した多チャンネル放送だという人が7割もいることから、結果的に、当社がIPTVサービスを行うことによって、潜在需要や新しいユーザーを掘り起こしている面があるように思います。
■ 逆に、CATVが先細りになるという可能性がありませんか。
板東 CATVは、今までの長い間サービスを提供した経験による強みもあり、やはりCATVでなければというユーザーもかなりいると思います。また、コンテンツによっては、特定の事業者しか提供していないものありますので、あるコンテンツを楽しみたいという要求から、その事業者のサービスと契約するということもあります。そうなると、複数のサービスを同時に契約ということになります。
■ 映像系サービスというところでは、レンタル・ビデオ業者との関係についてはいかがでしょうか。
板東浩二氏
(NTTぷらら
代表取締役社長)
板東 レンタル・ビデオとの関係は、今後、気になるところでもありますが、当社としてはIPTVならではの使い方やサービスを提供していきたいと考えています。例えば、「ひかりTV」では、見放題のVoDコンテンツを5,000本用意することにしています。
実は、「4th MEDIA」で提供していたサービス・プランに、レギュラープランというものがあります。これは、多チャンネル放送の約40チャンネルに加えて、VoDを月2本まで追加料金をなしで、無料で見られるというサービスです。
この2本という数値は、レンタルするビデオの本数平均が月に約2本だということが根拠になっています。ただ、「4th MEDIA」のユーザーは、実際には、月1本しか使わない方も多かったのです。無料視聴の期限が切れてしまう月末には、利用率がポンと上がるので、ユーザーがどのコンテンツを見ようかと選んでいるような形跡はあるのですが、1回見はじめてしまうと、面白くても面白くなくても、それでもう1本視聴したことになってしまうので、慎重に選ぶあまり月末になって時間切れになってしまうことが多い状況で、使いにくいところがあったためだと思います。
また、多チャンネル放送とVoDの同時接続率(ピーク時)を見ると、「VoD PPVタイプ」は大体2%ぐらいですが、「多チャンネル放送」のほうは多いときで10%ぐらいあります。一方、「VoD見放題タイプ」になると、利用率は「VoD PPVタイプ」よりももっと上がり、6%から7%ぐらいになってきます。見放題にすると、お金を気にしないで、見たいものを適当に選び、嫌だったらすぐやめればいいので、利用率が上がってくるのです。
そういうわけで、「ひかりTV」では、VoDで見放題のサービスを提供することにしたわけです。
■ 現在、日本のIPTV業界の中では、御社の「ひかりTV」のラインナップは同業他社に比べて突出しているとみていますか。
板東 そうですね。TVポータルとの違いでもありますが、IP放送とVoDをセットで提供していることが大きなポイントだと思います。このため、見逃し視聴とか、放送でやっているものに関連づけてVoDを提供するといった組み合わせができて、番組とかコンテンツの編成の幅が広がっている面があると思います。特にVoDについては約1万本をそろえて、なおかつ、その中の5,000本については見放題というのが、ユーザーに大きく受けていると思います。
≪3≫課題となるコンテンツの確保■ 2008年4月に放送法が改正・施行され、NHKの番組配信事業が認められるようになりましたね。今、埼玉県の川口市にあるNHKアーカイブスでは、コンテンツのデジタル化作業が進んでいます。2007年3月現在、「NHKアーカイブス」には、保存されている番組は61万2000番組、ニュースは397万7000項目におよぶというように、NHKはコンテンツの宝庫のようなところですが、NHKのコンテンツと御社の関係はどうなのでしょうか。
板東浩二氏(NTTぷらら 代表取締役社長)
板東 NHKは、2008年12月に過去のドラマや大型ドキュメンタリー番組、見逃し番組を視聴できるVoDサービスを開始する予定であると発表しています。これらは非常に魅力的なサービスですから、ぜひ「ひかりTV」ユーザーに「NHKオンデマンド」のサービスを提供したいと考えています。
■ そうすると、「NHKオンデマンド」のサービスによって、年末から来年(2009年)にかけて、そのようなNHKのアーカイブがどんどん御社のサービス上で提供されることになりそうですね。
板東 そうですね。これは今、調整段階ですから、具体的なサービス提供形態や時期などについては明言できませんけれども、だんだんそういう話になっていくと思います。
■ 現在は、「ひかりTV」のラインナップは、かなり充実していますが、そうしたコンテンツを集める際に、いろいろと複雑な著作権処理の問題など複雑なことがあるのではないでしょうか。
板東 当社が映像サービスを始めた当初は、こうした業界について詳しいスタッフがおらず、ほんとうに素人集団という形からスタートしました。ハリウッドのようなところにパイプを持った人間もいなかったものですから、いわゆるコンテンツ・アグリゲータ(コンテンツ収集業者)というところに頼んで調達してきました。しかし、すぐに自分でやるべきだということに気づきましたので、必要な人材を集め、現在は、自分たちで調達できるようになっています。
少々時間はかかりましたが、人的なネットワークができてくると、調達のやり方とかコンテンツ業界のルールなどもわかってきました。このような努力も含めて、NTTぷららが今、IPTVでいろいろなコンテンツを集めているということも知っていただけるようになりました。現在、コンテンツ・ホルダーと良好な関係を築きつつ、適切なコンテンツを適切な料金で提供していただけるように努力をしているところです。
ただ、放送でもVoDでも同じですが、コンテンツはまだ外国のものが多い状況です。
■ 現在は、日本のコンテンツよりも外国のコンテンツが多いということですが、その理由は何でしょうか。
板東 例えば多チャンネル放送では、ドラマやエンタテイメントチャンネルの「AXN」「FOX」、海外ドラマ専門チャンネルの「スーパー!ドラマTV」など、全部外国のドラマが中心です。ディズニー・チャンネルもそうですし、ニュースにしても、日経CNBCはありますが、CNN(米国)とかBBCワールド(英国)とか、ドキュメンタリーにしてもディスカバリー・チャンネルとかナショナル・ジオグラフィックと、やっぱり外国ものが多くなっています。
コンテンツを充実させるためには必要なことですが、結果的に、国内よりも外国に多くのお金を払っているわけです。しかし、本当は、もっと日本のコンテンツ市場にお金を払い、新しいものを作って、IPTVなどの新しいプラットフォームで配信していきたいと願っています。そうすることによって、日本のコンテンツ市場そのものが大きくなっていく方向に発展するのではないかと考えています。
当社としても、今あるコンテンツだけを提供しているだけでは、市場は広がりませんので、コンテンツ制作のノウハウのあるようなところとアライアンスを組んで新しいものを作り、できたコンテンツを配信していきたい。
実際に、アライアンスを組んで制作した番組もあります。
■ 具体的にはどのような番組なのか詳しく教えていただけますか。
板東 例えば、図3に示すような、「ネコナデ」というドラマがあります。テレビ・ドラマ・シリーズのもので12話あります。千葉、埼玉、神奈川といったローカル局で放映され、人気番組となりました。「ひかりTV」では、放送終了後にこれをVoDで配信しました。放送を見逃した視聴者は、VoDで好きなときに見ることができたわけです。この「ネコナデ」は、映画化もされ、2008年6月から映画館で上映されています。
図3 NTTぷららが共同制作したコンテンツの例〔NTTぷらら資料より引用〕(クリックで拡大)
■ この番組のように、御社がコンテンツの共同制作に対して投資をして、コンテンツを作っていくという可能性は、今後も結構あるのでしょうか。
板東 それは大いにあります。これからも積極的にやっていきたいと思いますね。
■ ありがとうございました。
「第1回 NTTグループのIPTV戦略の核となる『ひかりTV』」
「第2回 地上デジタル放送IP再送信を実現した『ひかりTV』」
プロフィール
板東 浩二(ばんどう こうじ)
現職:株式会社NTTぷらら 代表取締役社長
【略 歴】
1977年4月 日本電信電話公社(現NTT)入社
1991年2月 九州支社 ISDN推進室長
1993年3月 長距離事業本部 通信網システム部 担当部長
1996年3月 マルチメディアビジネス開発部 担当部長
1998年7月 現職就任
【表彰等】
2001年5月 社団法人 日本インターネットプロバイダー協会 常任理事
2003年5月 電気通信協会 IT事業奨励特別賞 受賞
2008年 ブロードバンド・アソシエーション 理事
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新世代のワイヤレス・ブロードバンドであるWiMAXの商用サービスの開始(2009年)を間近に控え、WiMAX関連製品が多く出展される一方、3.9世代の高速モバイルをめざすLTEや次世代PHSなどの次世代モバイル通信技術も登場。これらは、会場で実証実験のデモやや基地局などの関連機器を展示し、次世代ワイヤレス・ブロードバンド・サービスの全体像をアピールした。また、iBurst、ZigBee、Bluetoothなどに関連した製品や技術も紹介され、来場者の注目を集めた。
日本では、2007年12月に2.5GHz帯が割り当てられ、2009年からの全国バンドを利用したモバイルWiMAXと、地域バンドを利用した固定WiMAXのサービス開始を目前に控えている。このため、WiMAX用の基地局や端末、開発用の機器やテスタ、半導体チップセットなど、商用サービスの開始に向けた多彩な機器が展示された。
とくに今回は、WiMAXのシステム・プロファイルを規定し、機器の仕様適合性や相互運用性試験を行い、認証する機関である「WiMAXフォーラム」のブースには、フォーラム参加企業のWiMAX関連技術が一堂に会して展示され、WiMAXサービスが間近いことを実感させた。
〔1〕UQコミュニケーションズのWiMAX向け端末全国にモバイルWiMAXのサービスの提供を計画しているUQコミュニケーションズは、WiMAX用の端末や室内用基地局(写真1)などを出展した。
展示された端末は、参考出品のWiMAX MID(写真2 ※)をはじめ、すでに2006年にWiBro(Wireless Broadband)という名前でサービスが開始されている韓国のモバイルWiMAX用の端末「SAMSUNG Panda」(写真3)、「SAMSUNG M8200」(写真4)や、今年2008年9月から、Clearwire(クリアワイヤ。2008年5月に発表された米Clearwireと米Sprint Nextelの合弁会社)によってサービスが開始される米国向けWiMAX端末「NOKIA N810」(写真5)などが展示。
UQコミュニケーションズは、2009年2月からモバイルWiMAXの試験サービスを開始する予定。
※ MID:Mobile Internet Device、携帯情報端末
写真1 UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX用屋内用小型基地局(クリックで拡大)
写真2 UQコミュニケーションズが参考出品したWiMAX MID(クリックで拡大)
写真3 韓国WiBro向けWiMAX端末「SAMSUNG Panda」(クリックで拡大)
写真4 韓国WiBro向けWiMAX端末「SAMSUNG M8200」(クリックで拡大)
写真5 米国向けWiMAX端末「NOKIA N810」(クリックで拡大)
〔2〕インテルは4タイプのWiMAX用チップセットを展示
インテルのブースでは、4タイプのWiMAX用チップセットとWiMAX端末、そして実際の端末とアプリケーションによるWiMAX利用シーンのデモを展示。
WiMAX用チップセットは、次に示す3タイプのノートPC向けのWiMAX/Wi-Fiコンボ・モジュールとMID/UMPC、携帯電話向けチップセットの計4タイプである(写真6、7)。
(1)「インテルWiMAX/WiFi Link 5150 ハーフ・ミニ・カード」(WiMAX:1×2MIMO、Wi-Fi:1×2MIMO)
(2)「インテルWiMAX/WiFi Link 5350」(WiMAX:1×2MIMO、Wi-Fi:3×3MIMO)
(3)「インテルWiMAX/WiFi Link 5150 ミニ・カード」(WiMAX:1×2MIMO、Wi-Fi:3×3MIMO)
(4)MID/UMPC(※)・携帯電話向けでWiMAX、GPS、Bluetooth対応のチップセット「Evans Peak」。
※ UMPC:Ultra Mobile PC、ウルトラ・モバイルPC
写真6 インテルの3タイプのノートPC向けのWiMAX/Wi-Fiコンボ・モジュールとMID/UMPC・携帯電話向けチップ(右下)
(クリックで拡大)
写真7 インテルのWiMAXチップセットの仕様(クリックで拡大)
なお、米国ではClearwire(クリアワイヤ)により2008年9月からモバイルWiMAXサービスが開始されることになっており、これらのノートPC向けのチップセット(下り10Mbps、上り4Mbps)が搭載されたノートPCは2008年10月頃には、市場に登場する予定。
端末では、海外市場向けにノートPCとしてWiMAXに対応する予定の、東芝「Satellite U400」とソニー「VAIO type S」、携帯電話型の京セラのCDMA/WiMAXデュアル・モード端末「TWX01(試作機)」(写真8)、ソフィアシステムズのMID向け開発プラットフォーム「PEARTREE」(写真9)や富士通の「FMV-U8250」などが展示されていた。
ソフィアシステムズのMID向け開発プラットフォーム「PEARTREE」は、Intel「Atom」プロセッサを搭載しており、同ブースでは、エディア社のGPSナビゲーション・ソリューションを動かし、WiMAXでネットワークに接続し、渋滞情報などを取得するデモなどが行われた。
写真8 京セラのCDMA/WiMAXデュアル・モード端末「TWX01試作機」(クリックで拡大)
写真9 ソフィアシステムズのIntel「Atom」プロセッサ搭載のMID向け開発プラットフォーム「PEARTREE」(クリックで拡大)
〔3〕富士通のWiMAXソリューションとLTEシステム
富士通では、モバイルWiMAXの小型基地局「BroadOne WX300」(写真10)とPCカード型WiMAX端末であるリファレンス・デザイン「MB86K21」(写真11)を使って、実際にデータを送信するデモを行った。
写真10 世界最小サイズの一体型モバイルWiMAX基地局「BroadOne WX300」(クリックで拡大)
写真11 PCカード型WiMAX端末であるリファレンス・デザイン「MB86K21-PC1」(クリックで拡大)
また、WiMAX対応のチップセットや、こうしたチップセットを搭載した家庭用のWiMAX端末やUSB接続の端末など、レファレンス・モデルも含めた複数のWiMAX製品が紹介された。
モバイルWiMAX端末向けLSI「MB86K21」は、高速通信と安定接続を提供するMIMOに対応、18.6Mbpsの高速受信時に240mWという低消費電力を実現。また、モバイルWiMAX端末向けMIMO対応のRFモジュール「MB86K71」は、RF-IC、アンテナ・スイッチ、パワーアンプ、フィルタ、発振回路などモバイルWiMAX端末に必要となるすべての高周波処理回路を搭載したRFモジュールとして世界最小サイズとなる15mm角(高さ1.5mm)を実現。
実際のWiMAXの製品化は、台湾のアクトン・テクノロジー(Accton Technology)が富士通のWiMAXチップセットを採用し、2009年8月に台湾で出荷する予定となっている。
さらに、小型化した第2世代のチップセットも展示(写真12)。このチップセットは、ベースバンドLSI「MB86K22」、RF LSI「MB86K52」、電源LSI「MB39C316」から構成されており、これにアンテナなどの必要部品を加えたWiMAXモジュール全体で12mm角のサイズを実現できる。
写真12 低消費電力を実現する第2世代のモバイルWiMAX端末向けのチップセット。
左から、ベースバンドLSI「MB86K22」、RF LSI「MB86K52」、電源LSI「MB39C316」(クリックで拡大)
また、富士通のブースでは、LTEのシステムも展示されていた。LTEについては、後述する。
〔4〕NECのWiMAXの基地局「PasoWingsシステム」NECは、WiMAXの基地局であるPasoWingsシステムを展示(写真13)。PasoWingsは、下り伝送速度が約30Mbps/セクター(90Mbps/基地局)で、MIMO A(送信ダイバーシチ)とMIMO B(スループット2倍)に対応している。
写真13 NECの屋内用WiMAX基地局(左)、屋外用WiMAX基地局(右)(クリックで拡大)
〔5〕マルチアンテナ信号処理ソフトウェア(A-MAS)
アレイコム(ArrayComm、本社:米国)は、アンテナの信号を処理することで、信号の品質を高める「マルチアンテナ信号処理ソフトウェア」(A-MAS)を出展。A-MASを利用することで、現行のWiMAX基地局システムと比較し、通信可能エリアを2~4倍拡大、データ速度を倍増させ、さらにWiMAXネットワークの周波数容量を4倍に高めることができるという。デモでは、動画データを使って、A-MASで信号処理を行った場合と、そうでない場合を比較した(写真14)。
写真14 アレイコムのマルチアンテナ信号処理ソフトウェア(A-MAS)。右下に並んでいる風景が、デモ用の動画映像。
右が信号処理を行っていない状態。左がA-MASで信号処理を行った状態で、A-MASにより、画質が鮮明になっている
ことがわかる(クリックで拡大)
≪2≫2010年の商用サービスを目指すLTE機器が続々登場!
WiMAXよりもやや遅れての実用化(2010年)を目指すLTE(3.9G ※)も来場者から大きな関心を集めた。LTEは2008年末に3GPPで標準化が完了する予定となっているところから、LTE関連機器の展示やサービス・イメージのデモが展開された。
※1 LTE:Long Term Evolution、3GPPで標準化されている3Gの長期的高度化システム
〔1〕NTTドコモのスーパー3G(LTE)を実体験できるデモNTTドコモのスーパー3G(LTE)は、既存の3G用周波数帯を使用し、当面の伝送速度は下り100Mbps以上、上り50Mbps以上の高速通信を実現する〔LTEの規格: 最大伝送速度326.4Mbps/86.4Mbps(下り/上り、20MHz幅×2)〕。NTTドコモのLTE開発スケジュールによると、現在は、室内外での実証実験のフェーズにあり、来年の2009年末までに、商用に向けた機器が登場する(写真15)。
NTTドコモのブースでは、LTEを実体験できる野外実験用の移動局車両を設置。LTEの速度を実際に体験できるとあって、多くの来場者でにぎわった(写真16)。この移動局と基地局などのLTEのシステムは、富士通製のもので、富士通ブースでも、実証実験のデータの様子が展示された。
写真15 NTTドコモのスーパー3G(LTE)開発スケジュール(クリックで拡大)
写真16 NTTドコモのスーパー3G(LTE)を実体験できる野外実験用の移動局車両(クリックで拡大)
〔2〕富士通のLTEシステム
富士通のブースには、NTTドコモでの実証実験で利用されているLTEの基地局システムなども展示された。LTE基地局システムの実験では、1.7GHz帯で下り(基地局システムから移動局方向)および上り方向でそれぞれ20MHzの周波数帯域幅を使用。データ伝送速度は,4×4MIMOを利用時に上りが最大300Mbps、下りが75Mbps。伝送遅延は5msである。当日、NTTドコモのブースで行われた実証事件のデータは、富士通ブースのモニタに表示された(写真17)。
写真17 富士通のシステムを利用したNTTドコモでのLTE(ウルトラ3G)の実証実験のデータ(クリックで拡大)
〔3〕ファーウェイ・テクノロジーズのLTEソリューション
中国のIT最大手企業である華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)は、日本市場を意識して、LTE基地局や製品を多数展示。ファーウェイは意欲的にLTE開発を行い、NGMN(※)や3GPP(※)、CSTI(※)などのLTEの標準化活動にも積極的に参加していることをアピールした。
展示されたLTE基地局(写真18)は、OFDMA(下り)、SC-FDMA(上り)、MIMOに対応、20MHz幅と10MHz幅を使い、対応周波数帯域は、2.6GHz、2.1GHz、1.5GHz、AWS(※)など。
※ NGMN:Next Generation Mobile Networks。既存のHSPA(HSDPAおよびHSUPA)などの方式に続く次世代移動通信ネットワークの実現を目的として英国で設立された法人。NTTドコモ、チャイナ・モバイル(中国)、KPN(オランダ)、Orange(仏)、Sprint Nextel(米)、T-Mobile(独)、Vodafone(英)の7社により設立、現在50社がパートナーとして参加
※ 3GPP:3rd Generation Partnership Project。IMT-2000 W-CDMAの仕様を作成するパートナーシップ・プロジェクト
※ LSTI:LTE/SAE Trial Initiative、LTE/SAEトライアル・イニシアチブ。LTE技術の商用化を目的に2007年2月に設立
※ AWS:Advanced Wireless Services。米国における3Gを含む移動通信のための周波数帯。1.710~1.755GHz(上り)/2110~2155GHz(下り)、5/10MHz、FDD免許バンド
※ SAE:System Architecture Evolution、3GPPで標準化が進められている、W-CDMAをベースに発展させた、オールIP化によるコア・ネットワーク・アーキテクチャ
※ HSPA:High-Speed Packet Access。下りの高速化を実現するHSDPAと、上りの高速化を実現するHSUPAの総称
※ HSDPA:High-Speed Downlink Packet Access。3GPPでW-CDMAの発展型として標準化された規格で、下り最大14Mbps
※ HSUPA:High-Speed Uplink Packet Access。3GPPでW-CDMAの発展型として標準化された規格で、上り最大5.7Mbps
写真18 ファーウェイのLTE基地局(試作機)(クリックで拡大)
このほか、WiMAX対応製品についても、個人用PCカードやUSB機器、小型アクセス・ポイントなど豊富なラインナップを展示した。
さらに、後述するが、FMCのカギとなるデバイスとして注目されているフェムトセルも展示していた。
〔4〕LTE/WiMAX関連のテスト機器、計測機器LTEやWiMAXシステムの開発に欠かせない各種テスト機器なども意欲的に出展された。
計測機器ベンダのアジレントテクノロジーズは、WiMAX用のテスト機器とともに、LTE用のテスト機器も展示。LTE端末のRF(※)テスト環境から、プロトコル開発・評価ツールなどまで、幅広いテスト環境に対応していることをアピールした(写真19)。
「N9020A MXAシグナル・アナライザ」は、LTE向けのRFテスト環境。業界最高速の信号/スペクトル解析速度(30~300%高速)と性能を備える
「E6620A無線通信テスト・セット」は、LTE向けのプロトコル開発・評価ツール。初期のプロトコル開発からRFコンフォーマンス・テスト/相互接続性テストまで、柔軟にテストできる。
※ RF:Radio Frequency、無線周波数
写真19 アジレントテクノロジーズのLTEテスト・ソリューション。「N9020A MXAシグナル・アナライザ」(左)、
「E6620A無線通信テスト・セット」(右)(クリックで拡大)
ABITの出展したLTEテスト装置「AQ-20シリーズモデル100」(写真20)は、LTEに対応したLTE信号レイヤ1モニタ装置。ユーザーのプログラミングによる機能追加なども可能で、拡張性が高いのが特徴となる。
写真20 ABITのLTEテスト装置「AQ-20シリーズモデル100」(クリックで拡大)
≪3≫次世代PHS「WILLCOM CORE」
ウィルコムのブースでは、2008年5月に発表した次世代PHS「WILLCOM CORE」のデモを展示。基地局側につながっているLinux端末上の動画ファイルを次世代PHSのシステムを通してストリーミング再生するデモを行った(写真21)。実際に電波を出すためには、免許が必要なため、このデモでは、アンテナ端子から、同軸ケーブルで直結し、10MHz幅で20Mbps(上り/下り)の伝送速度を実現した。
「WILLCOM CORE」は、2009年春に試験サービスを開始し、2009年10月ごろ本格的なサービスを開始する予定。サービス開始当初は、次世代PHSと現行PHSの両方に対応したデュアル端末を供給するという。
写真21 次世代PHS「WILLCOM CORE」のデモ。左が端末局、右が基地局(クリックで拡大)
≪4≫ユビキタス社会を実現するFMC 〔1〕NTTドコモのFMCサービス
移動通信と固定通信の融合させるFMC(Fixed Mobile Convergence ※)は、LTEなどで携帯電話の伝送速度の高速化が進むと、携帯電話がすべてのネットワークの入り口となる。NTTドコモのFMCサービス「ホームU」(サービス開始は2008年6月)は、そうした利用を見越した新しいサービス。ホームUは、FOMA/無線LANデュアル携帯電話「N906iL(onephone)」を利用し、自宅では無線LAN経由のIP電話として使用し、外出先では、FOMAとして使用することができるFMCサービス(写真22)。ホームUのユーザー同士であれば通話料金は無料で、それ以外の電話へも通常の携帯電話からかけた場合と比べ、3割ほど安くなるという。将来的には、フェムトセルにも対応する予定。
※ FMC:Fixed Mobile Convergence。移動通信と固定通信の融合
写真22 NTTドコモのFMCサービス「ホームU」の概念図(クリックで拡大)
〔2〕FMC実現のカギとなるフェムトセル
FMCを実現するカギとなる機器であるフェムトセル(※)もいくつか出ていたが、ここでは華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)のフェムトセル端末(写真23)を紹介する。これは、R99(※)とHSPA、UMTS(※)をサポートし、HSDPA7.2Mbps(下り)、HSUPA1.44Mbos(上り)、家庭用で4人、企業用で16人まで使える。
※ フェムトセル:Femtocell、家庭内に設置される超小型基地局
※ R99:リリース99。現行FOMAが採用しているW-CDMAの3GPP仕様
※ UMTS:Universal Mobile Telecommunications System、3G移動通信システム
写真23 ファーウェイのフェムトセル(クリックで拡大)
≪4≫その他の無線通信技術 〔1〕KDDIの1Gbpsの半導体レーザーを使った高速赤外線通信
従来の赤外線通信は発光ダイオードを使用していたが、通信距離や通信速度に課題があった。今回、光ファイバ通信でも使われている半導体レーザーを利用することで、現在の発光ダイオードを使うIrDA(※)が1mの距離で最大4Mbpsの伝送速度なのに対し、10~15cmの距離で1Gbpsの通信することが可能となる(写真24、25)。
現在、IrDAで標準化を進めており、2009年3月の標準化を目指している。
※ IrDA:Infrared Data Association、赤外線データ通信協会およびその標準規格名。1mの距離で最大4Mbps
写真24 KDDIの半導体レーザーを使った高速赤外線通信用モジュール(クリックで拡大)
写真25 KDDIの半導体レーザーを使った高速赤外線通信の概要(クリックで拡大)
〔2〕京セラはiBurst(625kMCモード)を出展
iBurstは、米アレイコムと京セラが共同開発したシステム。625kHz幅の占有帯域を使用し、複数本束ねてマルチキャリアで通信が可能な方式。ユーザー端末の最大伝送速度下り23.88Mbps/10MHz、上り9.13Mbps/10MHz、空間多重技術を使った基地局が下り95.5Mbps、上り36.5Mbpsを実現する。iBurstの拡張仕様が、TDD方式における625kMCモード(625kiloHerts-spaced MultiCarrier Mode)で、802.20WGで可決承認された。
サービス地域は2008年度中に17カ国に拡大する予定で、国内では、IEEE 802.20 625k-MCとして、2008年末までに、2GHz帯TDDバンドの事業者免許が交付される予定だという(写真26)。
ブースでは、iBurst対応機器とWiMAX対応機器が展示された(写真27)。
写真26 京セラiBurstシステムのプロフィール(クリックで拡大)
写真27 左がiBurst対応機器。右は、WiMAX対応のCDMA/WiMAXのデュアル端末「TWX01(試作機)」と
USBタイプのモジュール(クリックで拡大)
〔3〕インプレスR&Dは「WiMAX教科書」発売
インプレスR&Dブースでは、WiMAXフォーラムの認定書籍となる「WiMAX教科書」(2008年7月16日発売)が発売され、「NGN教科書」などとともにブースにて販売された(写真28)。2008年9月に創刊される無料情報月刊誌「IT Leaders」も配布され、多くの来場者が足を止めた。
写真28 「WiMAX教科書」を販売したインプレスR&D(クリックで拡大)
中国の最新インターネット事情(1):中国発の3Gサービス「TD-SCDMA」の展開
北京オリンピック開催記念連載! 第1回
中国では、急速な経済成長を背景に、すでに携帯電話利用者は5億人を超え、さらにインターネット利用者数は、2008年6月末で2億5千300万人に達しています。これは、2億1千500万の米国を超えて、世界第1位の数字です。この連載では、中国のインターネットの歴史や特徴、社会に与える影響など、最新の情報に焦点を当てます。
連載第1回目の今回は、北京オリンピック(2008年8月8日~24日まで開催)を目前に中国が開始した、中国国産の3Gサービス「TD-SCDMA」の概要を紹介します。
2008年現在、中国の携帯電話の利用者はすでに5億人を越えています。このほとんどが、第2世代のGSM(Global System for Mobile Communications)とCDMA(Code Division Multiple Access)方式の携帯電話です。オリンピックを迎えて、中国は第3世代の携帯電話方式として、国産のTD-SCDMA(Time Division - Synchronous Code Division Multiple Access)方式での商用試験サービスを開始しました。
通話方式の標準化は、まず各国の標準化団体や業界のコンソーシアム(※1)で推進することが多いのですが、最終的には、ITU(国際電気通信連合)で行われます。携帯電話に限りませんが、標準化では、特許問題を避けて通ることができません。特に、第2世代(2G)から携帯電話に使われているCDMA(Code Division Multiple Access)方式の技術や半導体を提供してきた米国クアルコム社が、携帯電話から基地局への送信電力の制御、ソフトハンドオーバー、同期・セルサーチなどの基本的な特許の多くをもっています。
クアルコム社は自社でもCDMA用半導体チップや開発用プラットフォームを製造・販売しますが、CDMA用の半導体を製造する他社に特許のライセンス料を課し、さらに、それを使用して製造された携帯電話にもライセンスを課すというビジネスモデルで収益を上げています。これらの特許は、第3世代(3G)の携帯電話の標準化にも大きな影響を及ぼしました。第3世代方式の1つである、日本およびヨーロッパなどが推進してきたW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の標準化では、クアルコム社との特許の相互利用交渉が膠着状態に陥り、1999年3月25日になって合意に達したという経緯があります。
通常、多くの企業が個別に特許を持つような技術の標準化を行う場合には、その利用にあたってライセンスを個別に得なければならないという複雑さを避けるため、特許を共同でプールしてライセンスする会社や組織を設立します。第3世代携帯の場合には、これは3G3P(3G Patent Platform Partnership)にあたります。しかし、クアルコム社はこれに参加していません(なお、3GとはThe third Generationのことで、第3世代の携帯電話をさします)。
さて、中国の科学技術部の統計によると、現在、中国が支払っている携帯電話の特許使用料は、売上高の20%にも上っています。これは、携帯電話の中核となる技術が国内に不足していたからです。このような問題を逓減するため、中国では、第3世代の携帯電話の標準化にあたって、国家戦略として独自の方式TD-SCDMAを開発することとしました。これは、中国の大唐通信(大唐通信科技産業集団、Datang Telecom Technology、ダタン・テレコム)とドイツのシーメンス社が中心となって開発を行い、2000年に国際電気通信連盟(ITU)にも第3世代の携帯電話方式の1つとして正式に認可されました。標準化された他の第3世代の方式は、日本とヨーロッパが推進したW-CDMA方式と、クアルコム社が中心となって推進したCDMA2000方式など5つの方式がありましたが、最近(2007年10月)では、モバイルWiMAXも第6番目の標準として認可されています。
※1 携帯電話の標準化団体としては、例えば、W- CDMAなどの標準化を行う3GPP(Third Generation Partnership Project)、CDMA2000などの標準化を行う3GPP2(Third Generation Partnership Project 2)があります。
≪2≫TD-SCDMA標準化と実用化の歩み1997年7月、中国政府の郵電省は次世代のモバイル通信技術の開発に向けて、第3世代の移動通信方式の評価と調整のためのグループChEG(China IMT-2000 Radio Transmission Technology Evaluation and Coordination Group)を設立し、1998年に新方式の提案を募集しました。これに対し、大唐通信が、TD-SCDMA技術に基づいた提案を行い、政府はこれをITUに提案しました。また、情報産業省では、CWTS(China Wireless Telecommunication Standard Group)という国内の標準化機構を設置しました。このCWTSは、各国の標準化機構が参加して第3世代の携帯電話仕様の検討、作成を行う団体3GPPや3GPP2に参加しました。
中国政府はTD-SCDMA技術の開発を後押しするために、TD-SCDMA産業連盟、TD-SCDMA技術フォーラム、TD-SCDMA技術専門グループの3つの組織を設立しました。まず、産業連盟は、TD-SCDMAの研究開発および実用化に当たり、各組織の調整連絡などを行う組織です。次の技術フォーラムは、国際技術協力と交流を推進する組織です。そして、技術専門グループは方式の決定、標準化、試験などに関する研究を担当します。
2004年2月、中国国家発展改革委員会、科学部、情報産業部は、TD-SCDMAの実用化を加速するため、"TD-SCDMA研究・開発・産業化のための国家プロジェクト"をスタートさせました。このプロジェクトには、7.08億元(約113億円)の予算が振り向けられ、これは、システム、半導体チップ、ソフトウェア、端末、アンテナ、無線などを開発する企業に投資されました。この成果は、2004年11月に、システム関連企業4社、チップメーカー4社、端末製造企業12社が参加して北京と上海で行われたTD-SCDMAの技術テストで披露されました。
2006年2月には実用化に向けたフィールド・テストが行われました。中国電信(China Telecom)(※2)、中国網通(China Netcom)(※3)、中国移動(China Mobile)(※4)の3社は、北京や上海で実験を行ったうえ、その結果を踏まえて、保定、青島、厦門(アモイ)でそれぞれ100余りの基地局を建設し、5000個のテスト用端末を使った試験ネットワークを構築しました。なお、上記各通信会社のサービス提供地域やサービス種別については、本WBB Forumに連載された「中国ケータイ最前線」の第1回を参照してください。ここに中国での携帯電話の歴史やサービス地域の地図を掲載しています。
TD-SCDMAの大規模なテストが行われるようになったのは、2007年に入ってからです。中国移動、中国電信、中国網通の3社が、北京、上海、天津、広州、深セン(センは土ヘンに川)、厦門(アモイ)、秦皇島、瀋陽、青島、保定の10の都市でTD-SCDMAの大規模なネットワークを構築し、試験を行ったのです。
以上に述べたTD-SCDMAの標準化と商用試験サービス開始までの経緯を表1にまとめます。
※2 中国電信:中国南部21省市自治区の固定電話とPHS、DSLなどのデータ通信、国際電話の業務を行う
※3 中国網通:中国北部10省市自治区の固定電話とPHS、DSLなどのデータ通信、国際電話の業務を行う
※4 中国移動:全国の携帯電話(GSM、GPRS)の業務を行う
表1 TD-SCDMA方式の標準化と商用試験サービス開始までの経緯(クリックで拡大)
≪3≫TD-SCDMAの商用試験サービス開始 〔1〕8都市でTD-SCDMAの商用試験サービスを開始
中国移動は2008年4月1日から、北京、上海、天津、瀋陽、広州、深セン、厦門(アモイ)と秦皇島の8つの都市で正式にTD-SCDMAの商用試験サービスを開始しました。これらの都市の位置を図1に示します。
図1 TD-SCDMA商用試験サービスの開始された都市(クリックで拡大)
TD-SCDMAの主な端末メーカーは、聯想、大唐、dopod、ハイアール、華立、華為、竜旗、モトローラ、フィリップス、TCL、Panda、海信、新郵通、中興(ZTE)、サムスン、LGなどです。データ通信用カードのメーカーは中興と大唐です。以下のURLでは、工業情報化部から許可を受けた40種類ほどの最新端末が紹介されています。自動的にスクロールして端末の写真が流れますので、それぞれの雰囲気をわかっていただけるものと思います。
http://www.tdscdma-alliance.org/20080601/index.asp
〔2〕端末はTD-SCDMAとGSMの両方に対応現在のところ、手に入るTD-SCDMA用の端末は10種類程度で、中国移動の営業所だけで販売されており、従来のように端末だけを購入することはできません。値段は1800から2800元(2万9000円から4万5000円)程度と、従来のGSMの高級端末に匹敵します。これらの端末の特徴は、TD-SCDMAとGSMの両方に対応していることです。端末によって、TD-SCDMAとGSMがそれぞれ異なる電話番号を持つもの、1つの番号をTD-SCDMAとGSMで使えるものがあります。いずれにしても、両方に対応していますから、まだTD-SCDMAの電波が届かない場所にいても、従来のGSM方式の端末として通信することができます。なお、データ通信用カードのほうは、700元(1万1000円)程度の価格です。これらTD-SCDMA携帯電話に対しては、最初の3桁が「157」の番号が割り当てられています。
現在、TD-SCDMA技術の発展や普及を進めるTD-SCDMA産業連盟(※5)では、現在のデータ通信におけるダウンロード速度を348kbpsから2.8Mbps程度まで向上させるため、10都市のTD-SCDMAネットワークに3.5世代のHSDPA方式を加える作業を行っています。また、すでにTD-SCDMA方式の次世代のブロードバンド通信規格であるTD-LTE(TDD方式のLTE)も中国政府に許可されています。この通信実験は、中国移動、ボーダフォン、ベライゾンの3社が共同して行うことになっています。
※4 TD-SCDMA産業連盟:TD-SCDMA Industry Alliance。2004年に結成され、通信機器メーカーや通信サービス提供会社が参加
≪4≫TD-SCDMAの料金体系とサービス 〔1〕TD-SCDMAの通話料金表2に中国移動のTD-SCDMAの基本料金体系を示します。なお、第2世代の通信料金については、本WBB Forumに連載された「中国ケータイ最前線」の第5回に表を掲載していますので参考にしてください。通信費用の体系や額はほぼ第2世代と同じですが、異なるのは、市内での使用料のうち着信には課金されないということです。第2世代では、市内でも着信側で利用料を支払う体系となっていますので注意が必要です。なお、みなさんご存知のように、日本では、携帯電話の着信に費用はかかりません。
表2 TD-SCDMAの通話料金表(クリックで拡大)
〔2〕TD-SCDMAの料金プラン
TD-SCDMAに加入する際には、表3に示す3つの料金プランから選択することになります。プランは月額の基本料金ごとに3つのコースがあります。TD-SCDMの料金プラン各コースの内容は、無料通話時間、第2世代のGSM方式の利用料金などから構成されます。GSM方式が入っているのは、すでに述べたように、端末がTD-SCDMAとGSMの両方が利用できるようになっており、TD-SCDMAの電波が入らない場合にはGSMで電話をかけられるからです。第2世代のGSMの料金については、本WBB Forumに連載された「中国ケータイ最前線」の第5回を参照してください。
これらのプランで異なるのは、主に無料の通話時間です。無料料金には市内通話とテレビ電話の通話時間も入っています。なお、28元(450円)のプランについては、"彩鈴機能"のサービスが使えません。この彩鈴機能とは、他人に電話をかけるときに相手が出るまでに、その相手が設定した音楽が聞こえるようになっている機能です。着メロというのは、着信の時に聞こえますが、彩鈴機能は発信の時に聞こえるので"発メロ"と言ってもいいでしょう。発メロは、自分に電話をかけてくる人に聞かせるもので、自分で時間や相手に応じた曲を設定しておきます。つまり、ある人へ電話をかける時には、呼び出し音の代わりに相手が設定した発メロが鳴るというわけです。音楽を設定しておく人もいれば、面白いメッセージ(例えば、"電話なんかしてくるなよ"、とか)を設定している人もいます。発メロに使うコンテンツは、さまざまな会社が提供しています。例えば、雷霆万均、滾石移動、新浪、捜狐(Sohu)、QQ、網易、華友世紀などのたくさんの会社があり、ここから曲やメッセージをダウンロードして使うことになります。なお、彩鈴機能を使うには、月5元(90円)の利用料金の契約をしなければなりません。
表3 TD-SCDMAの商用試験の料金プラン(クリックで拡大)
〔3〕TD-SCDMAのテレビ電話サービス
TD-SCDMAでは、テレビ電話サービスも提供されています。ただし、この機能は、相手もTD-SCDMAの携帯電話を使っていなければ利用できません。相手がTD-SCDMAの電波が届かない場所にいた場合や、テレビ電話機能のない端末を使用していた場合には、通常の音声だけの電話でつながることになります。この料金体系を表4に示します。表3にも一部載せていますが、通常の音声だけの通話に比較し、テレビ電話サービスは約3倍の料金がかかります。また、ローミングがない場合には、着信料金はゼロですが、ローミングが行われた場合には、1分当たり0.6元(9.6円)を着信側も払わなければなりません。
表4 TD-SCDMAのテレビ電話の料金(クリックで拡大)
〔4〕マルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)
日本と異なり、中国ではEメールよりもショート・メッセージ(SMS)での通信が盛んです。SMSはメッセージの宛先を携帯電話番号にして送るメールのようなものです。メッセージの長さは140バイト程度に制限されています。最近では、メッセージ長の制限が緩く、音、画像、写真、動画を含めたマルチメディアのメッセージ「マルチメディア・メッセージング・サービス」(MMS)が使われるようになりました。このMMSは、第3世代の携帯電話機能として標準化されています。カラーのメッセージも送信することができることから、中国ではMMSのことを"彩信"と呼んでいます。MMSではSMSと異なり、メール・アドレス宛の転送もサポートされました。
SMSやMMSでは、メッセージを直接携帯電話同士でやり取りしますが、その機能を利用して、コンテンツ提供会社からニュース、ゲーム、着メロ、音楽などのコンテンツをダウンロードするためにも使われています。ただし、あらかじめサービス提供会社とは契約をしておく必要があります。日本では、例えば、iモードなどの機能を利用して、コンテンツをダウンロードしますが、中国では、iモードに相当するWAP(Wireless Application Protocol)があるものの、データやメッセージ配信にはSMSやMMSもかなり使われています。ただし、第3世代の携帯電話の普及が進むと、SMSやMMSはWAPにとって代わられるのではないかという見方もあります。表5にSMSとMMSでコンテンツを提供している主な会社を示しておきます。
表5 SMSとMMSの主要プロバイダ(クリックで拡大)
よく利用されているサービスに、携帯で配信される新聞があります。これは、"手機報"と呼ばれており、全国の主要メディアのニュース、スポーツ、娯楽、文化、生活、経済、政治などの記事を提供します。写真も入ったMMS形式の新聞になっていますが、その利用料金は、各新聞社によって違います。
MMSの利用料金は、TDネット(TD-SCDMAネット)内への発信は1通当たり0.60元(9.6円)となっており、TDネットの外への発信は1通当たり0.80元(12.8円)となっています。また、SMSと同様にメッセージの着信は無料です。
〔5〕WAPのデータ通信サービス
日本のドコモがiモード・メニューでポータルを提供しているように、中国でもWAP上でポータルを提供しています。例えば、中国移動の場合は、「Monternet」と呼ばれており、接続するとコンテンツごとに分類されたメニューが表示されます。日本のサービスと同じように、ニュース、ゲーム、情報、娯楽、生活、財政経済などのあらゆる情報をオンラインで見たり、ダウンロードすることができます。また、メール、ネットワーク・ゲーム、チャットなどもできるようになっています。表6にその料金表を示します。これらすべてのコースには、インターネット・アクセスやWAPの利用料も含まれます。また、定額をオーバーしても、上限が決まっており、最高額が1000元(1万6000円)で押さえられます。なお、テスト期間中のTD-SCDMAの通信費は半額になっています。ただし、GSMでもデータ通信をした場合には、GSMの通信費を別途払わなければなりません。
表6 WAPのデータ通信料金表(月額)(クリックで拡大)
≪5≫中国携帯通信事業者の新しい動向
2008年6月2日、固定系の中国網通グループ(香港)の有限会社(略称の"中国網通"で英語ではChina Net)と携帯系の中国聯通株式有限会社(略称の"中国聯通"で英語ではChina Unicom)の2社が合併することを発表しました。中国網通は1株につき中国聯通の1.508株との交換を行うことによって合併を行います。また、中国網通の米国株については1株を中国聯通の米国株3.016株と交換します。中国網通は、2002年の通信事業再編によって生まれたもので、中国の北部10省を中心として主に固定電話サービスやインターネットサービスの提供を行ってきました。一方、中国聯通のほうは、中国全土を対象として携帯電話のサービスを行ってきました。両社の合併の結果、携帯と固定の両方のサービスを行う新しい中国聯通が誕生することになります。
なお、中国聯通はGSM方式とCDMA方式の両方のサービスを提供していますが、利益の高くないCDMA事業とそのネットワークを合計約1100元(17800億円)で固定系の中国電信に売却することを発表しました。これは双方にとって利益となることです。つまり、中国聯通にとっては、利益の上がらないCDMAから撤退し、大きな利益を獲得できるGSM方式の携帯電話事業に資源を集中させることができます。一方、中国電信にとっては、CDMA業務を展開することによって、移動通信サービスに参入することができます。中国電信は、2002年の通信事業再編によって生まれたもので、中国南部を中心とした21省市を中心として固定電話とインターネットサービス事業を行ってきました。
これで、中国の通信業界は、中国網通、中国電信、中国聯通、中国移動の4事業者体制から、中国聯通(中国網通と合併)、中国電信、中国移動の3グループに再編されることとなりました。
【参考サイト】
中国網通:http://www.cnc.cn/mj/news.asp?Unid=11703
中国聯通:http://www.chinaunicom.com.cn/
中国電信:http://www.chinatelecom.com.cn/
中国移動 TD-SCDMA社:http://tdtest.chinamobile.com/news/news_080330001.html
【コラム】
オリンピック関連サイトリンク集
いよいよ北京オリンピックの開催がせまってきました。そこで、コラムでは、オリンピックに関する情報をインターネット上で提供しているサイトを表にして紹介します。みなさんがオリンピックを楽しんでいただくための参考になれば幸いです。なお、オリンピックのことを中国では漢字で"奥運"と書きます。表にその漢字がたくさん出てくるのはこのためです。
北京2008年奥運官方網
http://www.beijing2008.cn/
オリンピックのオフィシャルサイトで、試合の日程、試合場所、ニュース、チケット販売、ボランティア等の情報を提供しています。英語、フランス語、スペイン語、アラビア語のサイトもあります。 中国奥運委員会の専門サイト
http://www.olympic.cn/
オリンピックの準備、実行活動などを紹介している専門サイトです。 捜狐奥運頻道
http://2008.sohu.com/
オリンピックに関する動画、画像、ブログ、活動などの情報を提供しています。 CCTV奥運網
http://2008.cctv.com/
中国中央テレビ局のサイトで、オリンピックに関する動画、ニュースなどの映像をオンラインで見ることができます。 奥運図片庫
http://www.beijing2008.cn/photo/
オリンピックに関する画像を見ることができます。 奥運視頻
http://2008.baidu.com/video/index.html
オリンピックに関する動画の専門サイトです。 奥運吉祥物
http://2008.sohu.com/s2005/jixiangwu.shtml
オリンピックの5つのマスコットに関する専門サイトです。 奥運中国
http://www.aoyunchina.com/
中国でオリンピックに対する活動などの紹介サイトです。 08奥運専門商品販売店
http://www.beijing2008.cn/95/06/column211990695.shtml
オリンピックの記念物及び販売専門店を紹介するサイトです。 奥運票務網
http://www.tickets.beijing2008.cn/
オリンピックの試合チケット販売販売の専門サイトです。 奥運地図
http://www.mapbar.com/aoyun/index.html
オリンピック試合会場の地図を紹介する専門サイトです。
Q&Aで学ぶH.264/AVC(15):身近なデジタル機器の圧縮技術は?
このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
ブロードバンド時代の急速な進展を背景に、通信と放送の融合が注目され、本格的な画像コミュニケーション時代が到来しています。このような時代の要請に対応して、新しい「H.264/AVC」という画像圧縮技術が標準化され、国際的な注目を集めています。今回は、身近なデジタル機器の圧縮技術について解説します。
Q15:身近なデジタル機器の圧縮技術は?
圧縮技術は、放送、通信(インターネット)、コンピュータ、CD-ROM、DVD、DVDレコーダ、デジカメ、携帯電話などに利用されているようですが、それぞれどのような圧縮技術が使われているのでしょうか画像の圧縮技術について、現時点で使われている国際標準に限って示しますと、表1-4のようになります。H.264/AVCは、現在、放送、通信、コンピュータ、蓄積メディアをはじめ、各分野で広く採用されています。
このほかに、アプリケーションによっては、例えばインターネット上のストリーミングの場合、各社独自の圧縮方法が用いられています。
表1-4 用途別にみる画像圧縮技術適用の例(クリックで拡大)
※この「Q&Aで学ぶ基礎技術:最新の情報圧縮技術〔H.264/AVC〕編」は、著者の承諾を得て、好評発売中の「改訂版 H.264/AVC教科書」の第1章に最新情報を加えて一部修正し、転載したものです。ご了承ください。
関連書籍
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2006年4月1日からのスタートした「ワンセグ」も採用している、ハイビジョン時代対応の高忠実度化規格(FRExt規格)を含めた、H.264/AVCの全プロファイルを網羅した決定版。Blu-ray/HD DVD/ゲーム/ケータイ/デジタル放送/テレビ会議の関係者には必読の書!
【TTC会長賞受賞記念】NGN時代を支えるイーサネット(802.3ah)標準:その逆転のドラマ(1)
日本の情報通信ネットワークの標準化機関であるTTC(情報通信技術委員会)は、毎年TTCの目指す標準化活動やその普及を図ることに貢献した技術者や研究者などの表彰を行っている。今回は、去る2008年6月24日に東京・芝公園にあるメルパルク東京で授賞式が行われ、21名(総務大臣表彰3名、TTC会長賞2名、功労賞16名)の方々が受賞された。ここでは、そのうち見事にTTC会長賞を受賞された日立電線(株)ネットワーク開発部 部長の瀬戸康一郎氏に、受賞の喜びと、受賞に至るご苦労話および標準化活動の重要性などをお聞きした。瀬戸氏の受賞理由は、NGN時代の光アクセス技術(FTTH)の基本ともなる光イーサネットの国際標準化(逆転のドラマ)への貢献であった。
【TTC会長賞受賞記念インタビュー】
NGN時代を支えるイーサネット(802.3ah)標準:その逆転のドラマ(1)
■ このたびは、これまでの17年間(1991年から)にわたる地道なイーサネット関連の国際標準化活動(IEEE 802.3)が高く評価されて、TTC(情報通信技術委員会)からTTC会長賞(※1)を受賞されましたこと、本当におめでとうございました。
※1 TTC会長賞:<表彰基準>TTCの目的である「情報通信ネットワークに係る標準を作成することにより、情報通信分野における標準化に貢献するとともに、その普及を図ること」に沿う事業の遂行に貢献された個人又は団体
瀬戸 ありがとうございます。正式には、『光アクセス網のポイントツーポイント光多重伝送方式』(IEEE 802.3ah:EFM)に関する標準化への貢献ということで表彰されました。
写真1(右):TTC会長賞を受賞された日立電線(株)ネットワーク開発部 部長 瀬戸康一郎氏
写真2(下):TTC会長の羽鳥光俊氏(右)から表彰状を授与される瀬戸康一郎氏(左)
■ 当初(1980年初頭)、企業やキャンパスなど限定された構内網として標準化されたイーサネットが、その殻を破り広域的な光アクセス網(FTTH:Fiber To The Home)としても大きく普及し、さらにNGN時代を迎えてますますその役割が重視されるようになっていますね。今回の受賞の対象となったのは、イーサネットに関するどのような内容の標準化活動なのでしょうか?
瀬戸 具体的に申しますと、LANやMANの標準化を推進しているIEEE 802委員会では、今から7年前の2001年の10月に、802.3ahというタスク・グループが承認され、その標準化が開始され、2004年9月に完了しました(図1、表1)。この802.3ahに関する技術や方式は総称して、EFM(Ethernet in the First Mile)といわれましたが、このEFMとは「ユーザー宅から通信事業者までの最初の1マイル(1.6km)のアクセス網にイーサネットを適用する」ための規格(いわゆるFTTH)のことです。
私も、この802.3ahでEFMの標準化に正式なボーティング・メンバー(投票メンバー)として参加し、活動を展開しました。今回の受賞の対象は、以上のような標準化活動を評価いただいたものと思います。
図1 イーサネットの歴史(瀬戸氏資料による)(クリックで拡大)
表1 IEEE 802.3ah(EFM)標準化の歴史(クリックで拡大)
≪2≫「一心双方向」通信をめぐって米国案が大きくリード
■ それは、今日のNGNのサービス「光ネクスト」が、イーサネットをベースにした光通信サービス(FTTH)であるところからみると、歴史的にはたいへん先進的な標準化でしたね。
ところで、標準化は各国の技術の競合の場でもありますから、ドラマもあったでしょうね。
写真3 瀬戸康一郎氏
瀬戸 はい、とても大きなドラマがありました。その当時(2001年~2002年)、光イーサネットによるFTTHでは、100Mbpsと1Gbpsを一心の光ファイバで双方向通信を行う「一心双方向」という方式が、最有力となっていました。
ところが、「一心双方向」を実現する方法として、
(1)米国からは「上りも下りも同じ波長」で一心双方向通信をやりたい、そのほうが経済的に安くできるという提案
(2)日本からは、「上りと下りで異なる波長」で一心双方向通信をやる波長多重方式の提案
などがあり、主にこの2つの方式が標準化の俎上に上がっていまして、真っ向勝負となっていました。しかし、米国からの「上りと下りとも同じ波長」でやるほうが安くできるという提案のほうが支持が多くて、802.3ahのタスク・グループにおける標準化の流れは、大きくそちらに傾いていました。
■ それは、単純に考えますと米国の提案「上りも下りも同じ波長」で実現できれば、日本からの提案よりも経済的だと思いますが……。
瀬戸 そのとおりですね。ところが、もともと一心双方向で100Mbpsの伝送速度で通信することについては、その当時、すでに日本国内ではある程度実績がありましたし、NTTの研究所でもかなり調査研究をしていて、実際に「上りも下りも同じ波長でやるという方式(一心双方向の同波長方式)」(米国の提案)についても、すでにいろいろな試験を行ってきていたのです。
ところが、その試験結果はよくなかったのです。つまり、一心双方向の同波長方式(米国の提案方式)は、光の反射の影響やその他原因不明のトラブルがあり、あまりよい成果が得られなかったのです。当時、私も、このようなお話を聞いていましたし、一心双方向伝送に2波長多重方式を使用するのはある種の常識になっていたのです。そのような背景もあり、日本の標準化機関であるTTC(情報通信技術委員会)では2波長多重方式、すなわち上りと下りで波長が異なる方式(TS-1000)が標準化されました(TS-1000:光加入者インタフェース-100Mbps一心WDM方式-(第1版2002年5月23日制定。その後改訂)。
このように、その当時すでに日本では、802.3ahのタスク・グループで審議している内容「1波双方向がいいのか、2波双方向がいいのか」ということは、すでに決着がついていたのです。
■ さすが、光の先進国日本ならではのことですね。
≪3≫日本からの提案「TS-1000規格」への、冷ややかな反応瀬戸 このように、日本ではすでに実験もし、市場で経験も経たうえで、上りと下り異なる2波にすることで決着がついていましたので、まずはそれを802.3ahに提案いたしました。提案はしたのですが、多勢に無勢でして、大勢は安く実現できるといわれる米国方式に傾いていました。ですから私の提案は「日本ではそうなのだ」という程度の冷ややかな感触でしか受け止められませんでした。
■ 多勢に無勢では、ちょっとやそっとではひっくり返せませんし、説得も難しいでしょうね。
瀬戸 それで、私は光の先進国の日本でつくられたTS-1000規格は、すでにそれなりに普及もし、トランシーバ・メーカーも製品をつくり市場に出荷するなど、せっかく日本でいいものがあるのに、それがまったく採用されないまま、国際標準とは別の規格になってしまうのは寂しいことですし、FTTH市場発展のためにもよくないことと思い、次のような行動に出ました。
実はそのときに、TTCの「TS-1000」を標準化したワーキング・グループ(WG21)の議長をやっておられたNTTアクセスサービスシステム研究所(AS研)の青柳さん(青柳愼一主幹研究員(当時))と大高さん(大高明浩主任研究員(当時)に相談したのです。
■ 具体的には、どのようなご相談だったのですか?
瀬戸 802.3ahタスク・グループの現在の状況から判断すると、このままだと米国方式が標準化されてしまい、日本方式は理解してもらえないまま負けてしまう。TS-1000がどのような経緯で、TTCで標準化されたのかということの説明や、TS-1000が日本で普及している状況、それからNTTなどがどのような仕様を希望して、その結果、TS-1000になったのかそのいきさつを、ぜひ802.3ah会合で説明していただけないかと、NTTのAS研にお願いに行ったのです。
≪4≫歴史的な逆転のプレゼンテーション■ それは、危機感迫るお願いとなったでしょうね。
瀬戸 そうしたら、「それは素晴らしいことだ」と、青柳さんが判断してくださいまして、大高さんを、2002年11月にハワイで開催された802.3ahの会合に送ってくれたのです。私ももちろん出席しましたけれども。このハワイの会合で、大高さんがプレゼンしてくださいまして、そのNTTの研究所の実験に基づき、さらに日本の市場の経験に裏打ちされた迫力のあるプレゼンを聞いた参加者は大いに感動し、それまでの流れが大きく変わってしまったのです(表2)。
表2 802.3ah会合での日本からの提案文書
発表年/月/日発表者発表内容 2002/1/16K. Seto Hitachi Cable他■瀬戸らによるTTC方式に基づく初提案(特にTTC TS-1000とは謳っていない)■タイトル:Bi-directional 125Mbps PMDfor FTTH Application
(100BASE-BX-1310/1550)
(http://www.ieee802.org/3/efm/public/jan02/seto_1_0102.pdf) 2002/5K. Seto Hitachi Cable他■瀬戸らによるTTC方式の紹介
■タイトル:The introduction ofa new FTTH Standard in Japan
(http://www.ieee802.org/3/efm/public/may02/seto_1_0502.pdf) 2002/7/8K. Seto Hitachi Cable■瀬戸によるTTC TS-1000の標準化状況紹介
■タイトル:TTC Liaison Report
(http://www.ieee802.org/3/efm/public/jul02/optics/seto_optics_1_0702.pdf) 2002/7/9K. Seto Hitachi Cable■瀬戸によるTTC方式の紹介(アップデート)
■タイトル:TTC TS-1000 Optical Spec update and overview
(http://www.ieee802.org/3/efm/public/jul02/optics/seto_optics_2_0702.pdf) 2002/9/30K. Seto Hitachi Cable■瀬戸によるTTC TS-1000の標準化状況紹介(アップデート)
■タイトル:TTC Liaison Report
(http://www.ieee802.org/3/efm/public/sep02/optics/seto_optics_1_0902.pdf) 2002/11TTC working group 21
Akihiro OTAKA(NTT)他■NTT大高氏によるTS-1000の紹介
■タイトル:Overview of TS-1000-- TTC specification for FTTH --
(http://www.ieee802.org/3/efm/public/nov02/optics/otaka_optics_1_1102.pdf)
■ それはすごいことですね。まさに、標準化の方向をひっくり返す歴史的な逆転のプレゼンテーションだったのですね。
瀬戸 そうですね。そのプレゼンテーションを契機に、まさに802.3ahの雰囲気がガラッと変わりました。その後も、大高さんには定期的に802.3ahに参加いただきました。そのような活動の積み重ねの中で、802.3ahの大勢は、米国の提案とは逆に、基本的には日本のTTCの提案と基本的に互換性のあるもの(もちろん細かいところは違いますが)にしようという流れに変わったのです。結果的には、802.3ahの光100Mbps一心双方向の仕様は、表3に示すように、TTCの使用と基本的には同じような仕様(2波長多重方式)になったのです。
表3 IEEE 802.3ah EFM(100Mbps方式の例)とTTC「TS-1000」の主な仕様比較(クリックで拡大)
※2 <上り>⇒宅側から局側へ、<下り>⇒局側から宅側へ
※3 消光比(ER)の測定条件として、TTC TS-1000ではDCバランスの取れているPseudo Random(擬似ランダム)パターン信号列を想定。
IEEE 802.3ahでは、DCバランスが保証されない4B/5B符号化された信号列を想定しているため、消光比の規定は緩やかになっている。
これらの仕様は、実力的にはほぼ同等と考えられる。
■ それは画期的なことでしたね。
瀬戸 日本の技術がこのように本格的に採用されたのは、802.3WGでは初めてのことと言われています。その背景には、FTTHについて日本の光技術が世界よりも先行していたということ、また、実際に光ファイバをこれだけ広く各家庭まで敷設し利用しているということも、日本の大きな力となっています。つまり、光ファイバ技術について、日本が世界よりも先行して研究開発し、実績も経験もあるからこそ、それが結果として標準化に反映できたのではないかと思います。
■ なるほど。今回の受賞は、その標準化活動が認められたことが1つの大きな理由ですね。
写真4 「改訂版 10ギガビットEthernet教科書」(インプレス刊)を手にする瀬戸康一郎氏(クリックで拡大)
瀬戸 そうですね。基本的には「100Mbps一心双方向の方式のIEEEとのハーモナイズ」ということが受賞の理由ですが、そのほかに、私自身も監修し執筆している、
(1)ギガビットEthernet教科書(1999年3月、アスキー刊、監修:瀬戸他)
(2)10ギガビットEthernet教科書(2002年4月、IDGジャパン刊、監修:石田・瀬戸)
(3)FTTH教科書 (2003年8月、IDGジャパン刊、監修:青山、共編:藤本・瀬戸)
(4)改訂版 10ギガビットEthernet教科書(2005年4月、インプレス刊、監修:瀬戸・石田、写真4)
の書籍のほか、いろいろな雑誌などに発表した紹介記事や御社のWBB Forumサイトでの標準化動向のレポート(802.1の標準化動向/802.3の標準化動向)などを通じて、日本国内のEthernet普及に貢献してきたことも受賞のうえで評価されたようです。
■ 本当におめでとうございました。うれしい受賞ですので、ご参考までに読者の皆様にTTC会長賞の表彰状(写真5)を掲載したいのですが、よろしいでしょうか。
瀬戸 はい、了解いたしました。
写真5 TTC会長賞の表彰状(クリックで拡大)
――つづく――
(次回は、瀬戸氏のIEEE802委員会における標準化の重要性と、最近の802.3の活動や新しい取り組みをお話いただきます)
プロフィール
瀬戸康一郎氏(せと こういちろう)
現職:日立電線株式会社 ネットワーク開発部 部長
【略 歴】
1988年 東京工業大学 工学部 電気電子工学科卒業
1988年 日立電線(株)に入社、電線研究所にてLAN機器開発に従事
1996年 Hitachi Cable America サンノゼ事務所に駐在、ネットワーク関連技術調査業務に従事
2000年 日立電線(株)情報システム事業本部 事業企画室
2002年 日立電線(株)情報システム事業本部 開発部 マネジャ
2007年 日立電線(株)ネットワーク開発部 部長
IEEE会員、IEEE 802.1 WG投票メンバ
関連書籍
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10ギガビットEthernet教科書
=広域ネットワークへ発展したイーサネットのすべて=
著者:瀬戸康一郎・石田修 監修
ページ数:400P
サイズ・判型:B5判
価格:3,990円(税込)
〔本書の特徴〕
本書は、10ギガビット・イーサネットだけでなく、イーサネット技術全般に関する歴史、FTTHからレイヤ2 VPNまでの最新技術に関する情報など、イーサネット技術のすべてが理解できる決定版。
NTTぷららのNGN/IPTV戦略を聞く(2):地上デジタル放送IP再送信を実現した「ひかりTV」
NGNの商用サービス開始を背景に、ITU-TのIPTV-GSIで進むIPTVの標準化も急ピッチで進められています。国内でもIPTVの国内仕様の標準化を推進する有限責任中間法人IPTVフォーラムが発足するなど、IPTVを取り巻く環境は大きく動き出しました。そうした中、NTTぷららは、国内のIPTV事業者として、初めてNGNに対応した地上デジタル放送のIP再送信サービスを開始、さらに2008年12月からNHKの番組「NHKオンデマンド」(有料配信)を提供する計画を発表するなど、IPTVサービスで先行しています。同時に、通信と放送の融合が本格化する大きな契機にもなります。そこで、NTTぷらら 代表取締役社長 板東 浩二(ばんどう こうじ)氏に、NTTぷららが提供するIPTVサービス「ひかりTV」の特長や同業他社とのサービスの違いから、今後のIPTV市場の展望や課題などについてお聞きしました。
第2回は、
第1回 NTTグループのIPTV戦略の核となる「ひかりTV」
に続き、「ひかりTV」のネットワーク構成や、具体的なサービス・メニュー、地上デジタル放送のIP再送信などについて、お話いただきました。
第2回:日本初の地上デジタル放送IP再送信を実現した「ひかりTV」
≪1≫「ひかりTV」のネットワーク構成■2008年5月9日に「ひかりTV」は日本初となる地上デジタル放送IP再送信のサービスを開始されましたが、「ひかりTV」を利用するためには、どういう条件が必要なのでしょうか。
板東浩二氏
(NTTぷらら
代表取締役社長)
板東 そうですね。「ひかりTV」を利用するためには、まずNTT東日本、NTT西日本が提供する光回線サービスである、
(1)フレッツ 光ネクスト
(2)Bフレッツ
(3)フレッツ・光プレミアム
のいずれかに加入することが必要です。そして、「ひかりTV」の対応チューナー(セット・トップ・ボックス:STB)も必要となります。
写真1および表1に「ひかりTVチューナー」の画像と製品仕様を示しました。
写真1 「ひかりTV」のSTB(クリックで拡大)
表1 「ひかりTV」のSTB(セット・トップ・ボックス)の製品仕様(クリックで拡大)
■「ひかりTV」はどのようなネットワーク構成でサービスを提供しているのでしょうか。
板東 図1に示したように、「ひかりTV」は、NGNのユーザーにも、従来のフレッツのユーザーにも、利用していただけます。「ひかりTV」用の新しい「ひかりTVチューナー」(STB)が4月から提供されていますが、このチューナー(STB)は、H.264/AVCとMPEG-2の両方に対応しています。また、NGNでも従来のフレッツでも、両方のネットワークで使えます。新しい「ひかりチューナー」で「ひかりTV」を使っていただく場合には、ハイビジョンにも対応することができます。さらにNGNのユーザーには、一部地域で地上デジタル放送のIP再送信のサービスも提供しています。
図1 「ひかりTV」のネットワーク構成〔NTTぷらら資料より引用〕(クリックで拡大)
■従来のIPTVサービスを利用しているユーザーの場合、従来サービスに対応したSTBはどうなるのでしょうか。
板東 従来のサービスを利用されているユーザーは、「4th MEDIAチューナー」「オンデマンドTVチューナー」「OCNシアターチューナー」というSTBを持っているわけですが、オンデマンドTVの一部のSTBを除き、基本的に従来のサービスでご利用いただいているSTBのファームウエア(※1)をバージョンアップすることによって、新しい「ひかりTV」のサービスを使っていただけます。ファームウエアをネットワーク側から書きかえて、「ひかりTV」に対応できるように考えています。ただし、オンデマンドTVのSTBのうち、一部の機種については交換が必要です。
また、従来のサービスにおいては、オンデマンドTVのSTBの一部機種がハイビジョン(HDTV ※2)とH.264/AVCに対応していますが、ほとんどの従来STBは、MPEG-2で、通常の画質(SDTV ※3)となっています。
※1 ファームウエア:Firmware。電子機器に組み込まれた制御用のソフトウェア
※2 HDTV:High Definition TeleVision、ハイビジョン画質のテレビ
※3 SDTV:Standard Definition Television、標準画質のテレビ
■ユーザーは、「ひかりTV」を視聴するために、STBが必ず必要となるのでしょうか。
板東 そうでない場合もあります。当社では、「ひかりTV」用に新しくIPTVのプラットフォームを構築したわけですが、これは、日本のIPTVの